風間教場
第百二期短期課程の仮入校を控える警察学校で、新任の久光校長が風間公親教官に命じたのは「退校者ゼロ」の教場作りだった。落伍者が出れば、責任者の風間もクビだと言う。
刑事指導官時代に現場を共にした平優羽子を助教に、第九十八期の卒業生・宮坂定を現役警察官兼生徒の世話係に迎え、緊迫の新学期が始まった。風間教場では、備品の紛失、生徒の妊娠発覚など問題が頻発する。厳しい指導で生徒を篩にかけ、警察官の資質がないと判断するや即刻はじき出してきた鬼教官の、新たなミッション達成なるか⁉︎TVドラマ化で話題の警察小説、初の長編となる第四弾。
2019年刊行し翌年には文庫化された本作は「教場シリーズ」初の長編。内容はSPドラマのエピソードの原作ですね。
「鬼教官」の風間が今回は校長により逆の立場に立つ事になるようで、個人的に風間の印象が変わる事でちょっと微妙な感じを受けました。更に最後は今後の風間を示唆する終わり方でしたので、シリーズの今後がちょっと心配になりました。
次作はまた「刑事時代」の風間に戻るようなのでドラマの終了とともに楽しみたいと思います。
教場0 刑事指導官・風間公親
T県警が誇る「風間道場」は、キャリアの浅い刑事が突然送り込まれる育成システム。捜査一課強行犯係の現役刑事・風間公親と事件現場をともにする、マンツーマンのスパルタ指導が待っている。三か月間みっちり学んだ卒業生は例外なくエース級の刑事として活躍しているが、落第すれば交番勤務に逆戻り。風間からのプレッシャーに耐えながら捜査にあたる新米刑事と、完全犯罪を目論む狡猾な犯罪者たちとのスリリングな攻防戦の行方は⁉︎ テレビドラマ化も話題の「教場」シリーズ、警察学校の鬼教官誕生の秘密に迫る第三弾。解説はミステリー評論家の三橋曉さん。
2017年発刊、文庫化はSPドラマ放映前の2019年。そして2023年の「月9ドラマ」の原作の本作品ですが、伏線が散りばめられたストーリーは今回も圧巻です。
しかし、ドラマ視聴した後で読了したら少なからずミステリー性は弱まった感がありました。やはり「小説読破→ドラマ視聴→小説再読」がベストのようですね。
次作はまたも「警察学校時代」に戻る模様。さらに今作品に登場した「ある人物」が助教として登場(ガッキーの演じた役?)するようです。
さて、ドラマ終了に合わせてシリーズ読破できるかな?
教場2
必要な人材を育てる前に、不要な人材をはじきだすための篩。それが、警察学校だ。白髪隻眼の鬼教官・風間公親のもとに、初任科第百期短期課程の生徒達が入校してきた。半年間、地獄の試練を次々と乗り越えていかなければ、卒業は覚束ない。ミスを犯せば、タイムリミット一週間の“退校宣告”が下される。総代を狙う元医師の桐沢、頑強な刑事志望の仁志川など、生徒たちも曲者揃いだ。その中でも「警察に恨みがある」という美浦は、異色の存在だった。成績優秀ながら武道が苦手な美浦の抱えてる過去とは?数々の栄冠に輝いた前代未聞の警察小説、待望の続編!
2016年に発刊、一年後に早くも文庫化された人気作第2弾。これも前作と同様に20、21年のSPドラマにて映像化されました。
今回も「全てが伏線」という展開であっと言う前に読破してました。
次は文庫化している教場シリーズも折り返しの3作目「教場0」。月9ドラマの原作となる「刑事時代の風間公親」のエピソードのようなので、読むのが今から楽しみです。
教場
希望に燃え、警察学校初任科九十八期短期課程に入校した生徒たち。彼らを待ち受けていたのは、冷厳な白髪教官・風間公親だった。半年にわたり続く過酷な訓練と授業、厳格な規律、外出不可という環境のなかで、わずかなミスもすべて見抜いてしまう風間に睨まれれば最後、即日退校という結果が待っている。必要な人材を育てる前に、不要な人材をはじきだすための篩。それが警察学校だ。週刊文春「二〇一三年ミステリーベスト10」国内部門第一位に輝き、本屋大賞にもノミネートされた“既視感ゼロ”の警察小説、待望の文庫化!すべてが伏線。一行も読み逃すな。
2013年刊行、2015年文庫化した今作は2020と21年にSPドラマ、2023年には待望の「月9ドラマ」として登場しました。
上記の紹介文にあるように「すべてが伏線」なのは私が愛読する「横山秀夫作品」を彷彿とさせてくれました。収録された短編の各主人公が背負う「闇」を見逃さない風間の「眼力」は見どころです。
ドラマが放映される3ヶ月でこの「教場シリーズ」是非とも読破したいと思います。
最後の医者は桜を見上げて君を想う
あなたの余命は半年ですーある病院で、医者・桐子は患者にそう告げた。死神と呼ばれる彼は、「死」を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説く。だが、副医院長・福原は奇跡を信じ最後まで「生」を諦めない。対立する二人が限られた時間の中で挑む戦いの結末とは?それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ誕生!【文庫書き下ろし】
2016年刊行。今回「再読」しましたが、4、5年前に読んだはずなのに全くストーリーを覚えていなかった…当時いかに「ナナメ読み」してたか…。
会社員、大学生そして医師の突然の「病と死」を対立する二人の主人公が壮絶に向き合っていく事により考えさせられる、実はそれぞれの患者が主役の物語だと思います。
去年(2022年)腫瘍摘出で入院・手術したが為か読書後の印象が変わりました。「生きる」≠「今まで通り」という事をまさに実感しますね。
「ブラックジャック」や「医龍」など「奇跡が簡単に起きる」ようなドラマ演出ではなく、医療ドラマも現実的なものが多くなってきたかな?
もうエンターテイメントとしては観れないドラマのジャンルになってきてるのかも…。
銀翼のイカロス 半沢直樹 ④
出向先から銀行に復帰した半沢直樹は、破綻寸前の巨大航空会社を担当することに。ところが政府主導の再建機関がつきつけてきたのは、何と500億円もの借金の棒引き⁉︎ とても飲めない無茶な話だが、なぜか銀行上層部も敵に回る。銀行内部の大きな闇に直面した半沢の運命やいかに? 無敵の痛快エンタメ第4作。
初出は2013年〜2014年、その後発刊。そして2017年に待望の文庫化。前読の「花咲舞」と同時購入して即読破した記憶があります。
今回再読してみて2020年のドラマの名シーンが脳裏に蘇ってきました。
現実でも民主党が政権交代したのが2009年、日本航空の「すったもんだ」が2010年あたりとストーリーにリンクした事実が思い出されて、その頃の(若かった)自分を思い起こしました。
昨今のコロナ禍で震災以前の記憶が薄れてる感…あるなぁ。あと5年もすれば政権交代があった事すら知らない世代になりそうですね。
さて、この人気シリーズ…はたして「第5弾」はあるのでしょうか?楽しみに待つ事にします。
次回は春ドラマに登場するらしい「キムタク」主演のアノシリーズを読破しようかね。
花咲舞が黙ってない
その日、東京第一銀行に激震が走った。頭取から発表されたライバル行との合併。生き残りを懸けた交渉が進む中、隣店指導グループの跳ねっ返り・花咲舞は、ひょんなことから「組織の秘密」というパンドラの箱を開けてしまう。隠蔽工作、行内政治、妖怪重役……このままでは我が行はダメになる!花咲舞の正義が銀行の闇に切り込む痛快連作短篇。
2016年読売新聞に連載され、翌年2017年に文庫発刊された「池井戸潤」の人気シリーズ。
ドラマ化されたのは第一シリーズが2014年、第二シリーズが2015年。ついにドラマの題名を冠した作品が登場したようだ。
ストーリーは同時発売の「半沢直樹4 銀翼のイカロス」の前日談のようで、半沢の暗躍(?)も読みどころの一つだが、陰のヒロインである「昇仙峡玲子」と主人公の「正義」の対立が興味深い。
次回は、本作のキャラクターが登場する「銀翼のイカロス」を再読していきたいと思います。