ミーハー的 読書日記

読了した本の主観的な感想 あれこれ

下町ロケット

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研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。圧倒的な形勢不利の中で取引先を失い、資金繰りに窮する佃製作所。創業以来のピンチに、国産ロケットを開発する巨大企業・帝国重工が、佃製作所が有するある部品の特許技術に食指を伸ばしてきた。特許を売れば窮地を脱することができる。だが、その技術には、佃の夢が詰まっていたーーーー。男たちの矜持が激突する感動のエンターテインメント長編!  第145回直木賞受賞作。

2010年刊行、2013年文庫化。そして2011年前半の直木賞受賞作である池井戸潤下町ロケット」読み終わりました。当初はいつものようにドラマが終わりそうな頃からの「ランデブー読み」の予定でしたが、先日発売された「下町ロケット2 ガウディ計画」もドラマするらしいので、読了のはこびとなりました。
読み終わった感想は…「いい意味での池井戸潤」。「勧善懲悪」「正義は勝つ」的な展開は爽快感を味わえますよ。

流れは「ルーズベルト・ゲーム」と似てますが、こちらは「社長」よりは「社員」が大活躍。
特に、会社の方針に最初は反対していた「若手社員」が、大手大企業とのやり取り中で「プライド」を触発され、会社一体で大企業と渡り合う…という流れは(まぁベタですが)やっぱりワクワクしちゃいましたね。

でも、よくよく考えると、ひと昔前は「社員が夢を語り」、「会社が現実を語る」系図でしたが、今は「会社が夢(理想)を語り」、「社員が現実(あきらめ)を語る」…そういう時代なのでしょうか?

もしかして、両者とも「現実」しか語らない時代になっていたりして…

2015年11月5日 読了 個人的評価:⭐️⭐️⭐️⭐️(ワンパターンでも好きなものは好き)

そして、おなじみ…ドラマについて少々…

阿部寛・主演のドラマも1話から視聴率を上げているようで、今期のトップ(相棒は除いてね)確実のようです。ヒロインの朝ドラ明けからの土屋太鳳ちゃんもイイ感じのキレ演技ですね。そしてキャストはもう「悪役」のオンパレード。そして佃製作所には「仮面ライダー」が二人もいるし…。で、私的には見所満載ですね。「半沢直樹」「ルーズベルト・ゲーム」と同じスタッフの製作なので、似てる…というよりは、同じ(⁈)と、巷では言われてるようですが、まぁ 面白ければイイんじゃないの⁈


そして、このままの池井戸流れ からの…

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こちら。第3作目「ロスジェネの逆襲」が文庫化されたので、「半沢直樹シリーズ」1作目から読み直ししたいと思います。ドラマ第2弾が決まってからにしようかと思ってましたが、当分無さそうなので…。だって、来年は大河ドラマの主演ですからね。

次回。ごきげんようー。

図書館革命 図書館戦争シリーズ④

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原発テロが発生した。それを受け、著作の内容がテロに酷似しているとされた人気作家・当麻蔵人に、身柄確保をもくろむ良化隊の影が迫る。当麻を護るため、様々な策が講じられるが状況は悪化。郁たち図書隊は一発逆転の秘策を打つことに。しかし、その最中に堂上は重傷を負ってしまう。動揺する郁。そんな彼女に、堂上は任務の遂行を託すのだった。ーーー「お前はやれる」。表現の自由、そして恋の結末は⁉︎  感動の本編最終巻。

ついに図書館戦争シリーズ本編最終巻「図書館革命」読み終わりました。

結論からいえば、もちろん「ハッピーエンド」。「予想通り」ですが「予想以上」の盛り上がりです。

アメリカのテロ小説作家(?)「トム・クランシー」をもじった「当麻蔵人」という作家を「メディア良化隊から守る……というのがメインストーリー。トップシークレットを巡っての駆け引きが過熱、図書隊と良化隊の激しい情報戦が繰り広げられます。そして、愛する「上官」から託された主人公の活躍。キーワードは「大阪のおばちゃん」です。

まぁ最後は大円団。ラスボスかと思っていた「手塚兄」も立ち位置が変わって、まさに「金メダル級の着地」となりました。めでたしめでたし。

物語の設定を西暦に直すと「2019年」。この物語のような現実にならない事を願いたいですね。

2015年10月29日 読了 個人的評価:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️


先日、2012年公開のアニメ劇場版「図書館戦争 革命のつばさ」をCS放送でみました。ちょうどこの「図書館革命」を題材にしてました。(まだ未視聴ですが)ノイタミナ枠で放送した「図書館戦争」は「危機」までをアニメ化していたようです。機会があれば見てみたいと思います。

そして、私事ですが…明日(11/2)やっと映画「図書館戦争 THE  LAST MISSON」を観ることができます。
もうすでに多くの方が観たでしょうが、オリジナルストーリーなんですかねぇ? 超楽しみです。

そして、図書館戦争シリーズ、残るは…

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「別冊 図書館戦争」の二冊。恋愛感度100%のスピンオフ・ストーリーです。こういう「小技」的な感じ、結構好きだったりする…(井之頭五郎風に)

それではまた、次回。

無 痛

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神戸の住宅地での一家四人殺害事件。惨たらしい現場から犯人の人格障害の疑いは濃厚だった。凶器のハンマー、Sサイズの帽子、LLの靴跡他、遺留品は多かったが、警察は犯人像を絞れない。八ヶ月後、精神障害児童施設の十四歳の少女が自分が犯人だと告白した、が・・・・・・。外見だけで症状が完璧にわかる驚異の医師・為頼が連続殺人鬼を追いつめる。

表題「ミーハー的な読書」の趣旨にぴったりな秋ドラマ原作 久坂部羊「無痛」読了です。ドラマでは主人公・為頼の「犯因症」がクローズアップされてますが、原作では「刑法39条」がメインテーマのようです。あと、手術シーンが(ちょっと気持ち悪いくらい)詳細に書かれているのは、さすが現役の医師ですね。

ストーリー・設定もドラマとはかなり違っています。まぁ原作に忠実だとテレビ放映すら怪しくなってきますけど。登場人物の絡みも「いまひとつ」感があり、無痛症・イバラは以前読んだ「脳男」とイメージがカブる感じも否めません。
ただ単に、ヒロインの元旦那の「変態的グロさ」だけが印象に残りましたね。ドラマのイメージでこれから「読もうか」と思っている方、注意が必要ですよ。

そして、「あとがき」を読むタイミングも注意です。最初に読むとほぼ8割ストーリーがわかっちゃうほどの「完璧なあとがき」なので…

どんなに面白くても「心が病みそうな」内容は個人的にNGですね。この作品、確実に「メディア良化委員会」の検閲対象です(って図書館戦争にドップリの私でした…)。

続編や他の作品も、当面は「スルー」の構えでいきたいと思います。(ファンの方、ごめんなさい)


2015年10月24日 読了 個人的評価:⭐️⭐︎(オススメ度は⭐︎)


そしてドラマ版の「無痛」ですが、主演・西島秀俊の「男っぷり」と伊藤淳史の「猿っぷり」(失礼!)と、魅力あるキャストを揃えています。でも伊藤くんの「バチスタ・田口」のイメージが強いので犯因症の「キレ顔」には若干の違和感が…。ストーリーは一話完結らしいので 今後も、西島・為頼の「スーパーヴィジョン」で「犯人みっけ!」的な流れで「サスペンス」押しでいってもらいたいです。
あまり原作寄りの「グロさ」は視聴率ダウンに直結すると思いますよ。そこんとこ注意です。まぁ裏の「偽装夫婦」が強そうなので…大変そうですがね。

さて、秋クールのドラマが各局ともスタートしました。初回10%越え出来ず、苦戦しているドラマもありますが、ほとんどが12%以上と幸先良い感じです。でも油断すると急激ダウンもありますからね。
個人的な押しは「掟上」「5時9時」「サイレーン」「サムライ先生」…って、主演女優が好みって理由ですけど、それが何か⁉︎(何故にキレる?)。

あと「相棒」はさておき、視聴率トップなのが…

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池井戸潤下町ロケット」です。こちらは新書で発売の「下町ロケット2」の内容もドラマ化されるらしいので「先読み」スタイルでいきたいと思います。(ちなみにまだドラマは観てません)

そして、この投稿54冊目。去年の読破冊数53冊を越えましたー。

そして残るはあと2ヶ月。70冊はちょっと無理か…。

それでは、また次回。

図書館危機 図書館戦争シリーズ③

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思いもよらぬ形で憧れの“王子様”の正体を知ってしまった郁は完全にぎこちない態度。そんな中、ある人気俳優のインタビューが、図書隊そして世間を巻き込む大問題に発展。加えて、地方の美術展で最優秀作品となった“自由”をテーマにした絵画が検閲・没収の危機に。郁の所属する特殊部隊も警護作戦に参加することになったが⁉︎  表現の自由をめぐる攻防がますますヒートアップ、ついでに恋も・・・・・⁉︎ 危機また危機のシリーズ第3弾!


映画「THE LAST MISSON」が大ヒットしている「図書館戦争」。今回の「危機」では各章ごとに大事件(小事件も?)が勃発。まさに表題通りです。

最初は、「鞠江ちゃん」が図書館内で痴漢されるという事件、そして「昇進試験」での「郁」「手塚」「柴崎」の「珍プレー好プレー」。中盤では「折口」の出版社と有名俳優との「ムック本」での「訴訟問題」が意外な展開を迎え、最後では、帰郷した「郁」が巻き込まれる「図書館内の理不尽な問題」、そして第1巻にも負けない「激しい戦闘シーン」……と、前巻がおとなしかった分 今回はエキサイティングな内容でしたよ。

さらに「郁」と「堂上」、「小牧」と「鞠江」はもちろん、まさかの「手塚」「柴崎」の急接近に「玄田」「折口」の「大人のラブ」をミックスし、さらに「月9的恋愛!かつ戦闘?物語」になっております。そして最後のあとがき・ミニストーリー・対談も充実の一冊です。

読んでない人がいたら絶対読むべき。さあ、君も本屋へ走ろう!


2015年10月19日 読了 個人的評価:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️


年初めに考えた「読書予定」では全く予定外・想定外・考えてもいなかった「図書館戦争シリーズ」でしたが、強引にアマゾンにて6冊まとめて注文し、なんか映画とかTVとかアニメとかと絡めながら「世界観」にドップリ満喫できるとは、本当に「読書の秋」がなぁ…とか「ひとりごち」しております。


何気なく読んだ「阪急電車」から好きな作家ではありましたが、現在は「最も好きな作家」にU.R.U.(ウルトラ・ランク・アップ)ですね。

作品の完全制覇・コンプを目指し、初期の「自衛隊三部作」から読んでみようかな…多分 年明けになりそうだけど。


そして、「図書館戦争シリーズ」次巻は、ついに…

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本編最終巻「図書館革命」です。こちらも実はあと一章ほどで読み終える感じです。それにCSチャンネルでアニメ劇場版「図書館戦争 革命のつばさ」を今月末に観る予定です。


さらに来月は現在公開中の映画をやっと観に行けそうです。そして映画を見終わったら別冊二巻を読了してフィナーレですね。


娘はもう既に映画を観に行ったようですが、内容はきか・ないよう・にしております。
おあとがよろしいようで…

それではまた、次回。

世に棲む日日(四)

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動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し……。わずか八十人で兵を挙げた高杉晋作のクーデターは、きわどく成功する。幕府は、慶応二(1866)年、この長州藩を圧し潰そうと、天下の兵を糾合し、藩の四境から進行するが、時運はすでに移り変わっていた。維新の曙光を認めながら、しかし高杉はもう死の床にあった……。

四カ国艦隊に大敗した長州藩。敗戦交渉を成功させた高杉らを、以前の同志たちが「裏切り者!」と命を狙われ、さらに 幕府恭順を旨とする「俗論派」が藩体制を牛耳る。絶体絶命の高杉だが……というのが前巻までのストーリー。

ついに最終巻となる「世に棲む日日」。この巻では、伊藤俊輔(博文)曰く「動けば雷電の如く……」の例えのよう、まさに「電光石火」。「功山寺挙兵」を成功させて、藩体制を取り戻し、幕府軍との「四境戦争」では、奇策に次ぐ奇策と将軍の死去という天の助けもあり、長州藩に奇跡の勝利をもたらすました。この、桶狭間での「織田信長」にも匹敵するような英雄・高杉晋作。彼がもし、存在しなければ、幕末から明治への歴史の流れが変わったのは間違いないでしょう。

当初 「長州を焦土にすることで、日本人の目を覚まさせる」と言い切った高杉晋作。この発言は一見「テロリスト」のように思われがちですが、人一倍「藩主」や「家族」への「忠義」を重んじる「彼」の「壮絶なる覚悟」あっての言葉だったのでは…と思います。

もし現代に「高杉晋作」のような人物が現れたら……安全・安心思考の大衆からは確実に「バッシング」でしょうね。もう少し前(民主党政権手前)だったら、それこそ「維新のカリスマ」として、国際社会にも互角以上に渡り合ってくれたかもしれませんね。

「民の為の変革」を実行できる「政治家」って何処かにいるんでしょうかね。誰もが「職業議員」にしか見えないんだけどね、なんて。


2015年10月17日 読了 個人的評価:⭐️⭐️⭐︎⭐️


久々の「司馬遼」でしたが、一章が短くて比較的スラスラ読めました。機会をみて、高杉晋作が登場する別物語「十一番目の志士(上下巻)」と、松陰の叔父・玉木文之進 に弟子入りした「二百三高地」で有名な乃木希典が主人公の「殉死」も読んでみたいと思います。

そして大河ドラマは現在、明治編へ突入しているようですね。秋クールの新ドラマも始まりましたので、あと何話かの幕末編はとりあえず消化し、年末に明治編を「イッキ観」しようか…なんて思ってます。

そして来年は「真田丸」、再来年は「井伊直虎」と、戦国武将ものが続きますね。来年は当初 池波正太郎の「真田太平記 全12巻」で行こうか…とも思ったのですが、方針変更で司馬遼太郎の「風神の門」と「城塞」、あとは柴田錬三郎の「真田十勇士」あたりを読破しようか…と思ってます。


そして、秋クールドラマの原作…

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久坂部羊「無痛」を読破中。実を言うともう半分まで読み終わりました…が、読んでると「心が病みそう」になり、かなりキツイです。並行して読んでいる「図書館戦争シリーズ」に助けられていますね。

まぁ 自分で読もうと思った「本」だから最後まで全うしますけどね。

それではまた、次回。

図書館内乱 図書館戦争シリーズ②

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図書隊の中でも最も危険な任務を負う防衛隊員として、日々訓練に励む郁は、中澤鞠江という耳の不自由な女の子と出会う。鞠江は小さいころから面倒を見てもらっていた図書隊の教官・小牧に、密かな想いを寄せていた。そんな時、検閲機関である良化隊が、郁が勤務する図書館を襲撃、いわれのない罪で小牧を連行していくーーーかくして郁と図書隊の小牧奪還作戦が発動した⁉︎ 書き下ろしも収録の本と恋のエンタテインメント第2弾!

第2作「THE LAST MISSON」が先日 公開から早くも前作を越えるヒット…と報じられていますね。また地上波でも「第1作」とSPドラマ「BOOK OF MEMORIES」が放映されました。今作「図書館内乱」は、そのSPドラマのストーリーと新作映画の序章までが書かれています。(といってもまだ新作映画は見てませんが…)

主人公・笠原郁の「両親 登場」と「小牧と鞠江」のストーリー、あとは手塚兄・慧(さとし)の登場。クライマックスは郁が絶体絶命のピンチに陥ります。そして「王子様の正体が…」という展開。

今作は次回のプロローグ的なストーリーですね。今後の展開がより楽しみになります。
また、前巻同様、作者によるあとがき、巻末のミニエピソード、故・児玉清氏との対談も注目です。

さらに、小牧と鞠江のエピソードに登場する「レインツリーの国」という小説は、近々 (私のイチオシ女優の一人)「西内まりや」主演で映画化されるようで、2015年は年末まで「有川フィーバー」が続きそうです。

小説の中に登場する「小説」を本当に書いちゃう「有川浩」ってナニモノ? 作者の想像力には完全に脱帽ですね。

2015年10月11日日 読了 個人的評価:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️


いろいろな所用のため、映画「THE LAST MISSON」を観に行けるのは来月前半になりそう。それまで公開してますように。してますよね。絶対してるよね。前売券買っちゃったんだからね。

そして、「図書館戦争シリーズ」次巻は…

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「図書館危機」。映画を観る前にはこれと次作までは読み終えていたいですね。

そして今は「世に棲む日々」 最終巻に突入しました。大河ドラマはもう明治時代に移ってるようですね。チャチャっと読み終えて、大河ドラマもザーッ てな感じで追いつきたいと思います。


それではまた、次回。

世に棲む日日(三)

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狂躁の季節がきた。長州藩は既に過激派の高杉晋作をすら乗りこえ藩ぐるみで暴走をかさねてゆく。元治元(1864)年七月に、京へ武力乱入し壊滅、八月には英仏米蘭の四カ国艦隊と戦い惨敗・・・・・・そして反動がくる。幕府は長州征伐を決意し、その重圧で藩には佐幕政権が成立する。が、高杉は屈せず、密かに反撃の機会を窺っていた。

今年の夏クールのドラマ・アニメも9月中に観終わって消去できたのは、自分史上 かなり奇跡的なこと。いつもは2、3作観きれずに次のクールに持ち越したりして……っと初っ端から脱線気味ですが、唯一 録画が溜まっているのが大河ドラマ「花燃ゆ」。必死に観てますが、まだ10馬身(話)ほど離されています。そして、それに合わせて司馬遼の「世に棲む日々」も読み進めた次第でございます。

第3巻では、「池田屋事件」「蛤御門の変」「四カ国艦隊による敗戦」、そして「佐幕派」に牛耳られた長州藩を「取り戻す」策を思案する高杉晋作…という流れで次巻へ続きます。

突然ですが、自分個人の「偏った」「幼稚な」「勉強不足」の歴史認識では、「幕末」イコール「坂本龍馬」と「新撰組」なのであり、その他の人物史は「おまけ」のようなものでした。
前巻までの主役・吉田松陰は龍馬に「西洋文化」という意識を芽生えさせた人物。もう一人の主役・高杉晋作は「奇兵隊」を率いて、はたまた「色街」で女遊びをしている変わり者……というイメージでしたが、この作品で、「奇兵隊の隊長をすぐ辞めた」とか「で女をはべらしていたのは身を守るため」だったことを知り、高杉晋作という人物は「いたってまとも」だったんだなぁ…と感心することしかり。

また、長州藩の「二大政党制」のような「特殊な権力体制」も興味を引くところ。長州という藩が日本の最先端の一つであったことは間違いないようですね。大河でも強く描かれていますが、「周布政之助」と「椋梨藤太」の確執は、藩の民(国民)を蔑ろにして足の引っ張り合いに終始している…のは、現在の政党政治に通じるものがありますね。この時(現在もそうですが)、藩(国)の舵取りをするべき人物が手を取り合えば、幕末のあんな悲劇は起きなかったかも……なんて考えますね。現代の政治家も「政治ゲーム」は止めて真剣に「国の行く末」を考えてもらいたいものです。

少し話を戻しますが、今作品中 最も印象深いものが「四カ国艦隊との敗戦交渉」をする高杉晋作のテクニック。ビビって国のある程度は占領されてもおかしくない状況で五分五分に近い条件で収めた裁量はやはり天才的ですね。ほんと現代に甦って「TPP交渉」とか「領土問題」とかお願いしたいです。

そして、作者・司馬遼太郎が作中で指摘している「ヤクニン」という言葉。ペリーと同時期にやってきたロシア人が「日本のヤクニンの責任回避の能力のみが発達した特製に驚嘆した」と記述を残しているらしく、この頃と戦時中、そして「バブルが弾けた」あたりは、この責任のない「ヤクニン」という生き物が数多く発生したように感じます。「危機的状況」になれば発生する生物なのでしょうか?皆さんも「会社の方針」とか「上司の意向」とか言う「生き物」見たことありますよね。責任能力がある人は「切腹」してしまうので責任能力のない「DNA」が数多く生き残ったのかもしれませんね。


2015年10月3日 読了 個人的評価:⭐️⭐️⭐︎⭐️


そして大河ドラマの感想ですが…

正直 観るのに気がひける…と思っちゃいました。真の主人公・文に感情移入が出来ない視聴者も多いのでは。現在、文が奥女中になる…第29話まで観ましたが、内容は小公女セーラのよう。テンション下がりまくりです(テーマの本質上しょうがないのですが…)

視聴率を狙うなら男性主人公をもっと「身勝手に描き」小公女セーラ色を強めればもしかしたら……でも、朝ドラ「純と愛」で失敗してるから、なんとも言えないなぁ。

そしてNHKつながりで「まれ」も大円団でフィナーレ。「食材を大事にしない」だの「避妊はどうした」など、終盤に(もろ言いがかりな)批判もありましたが、個人的には大変「元気」をもらった作品でした。「大企業で安定」思考の世の中に「パティシエ」やら「塩田」やらで風穴を空けてくれました。「自己破産」しても「夜逃げ」しても「やりたいことがやれなく」なっても「双子ができても」しっかりと自分の人生を歩いていく「まれ」やその周りの人々が 今後の「暮らしの在り方」のベクトルを変えてくれればいいなぁ。若者がどんどん第一次産業で働くこと…(もちろん我々も頑張りますが)そんな世の中になれば面白いなぁ…なんて思います。


さて、次はついに…

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最終巻です。高杉晋作の活躍はどこまで描かれるのでしょうか。


それではまた、次回。