キマイラ 10 鬼骨変
今回は文庫ではなくノベライズ版。夢枕獏 待望の新刊「キマイラ 10 鬼骨変」 読了です。
夢枕獏 好きを公言していたくせに 今年初の読了となってしまいました。反省…
この「キマイラ」は「闇狩り師」「魔獣狩り」と並ぶ 初期の代表長編の一つ。刊行は1982年ですから、私が高校生だった頃。30代だった作者は60を超え、10代の私はもう50に手が届く年になってしまいました。
しかし、物語の時系列は多分一年くらいしか進んでいないと思います。作者も書き出しに苦労したようで、「ニコニコ動画」のイベントで「生執筆」という暴挙(?)をしたらしいですよ。
この主人公「大鳳 吼」ともう一人の少年「久鬼麗一」、そして優しい巨漢「九十九三蔵」、大鳳に想いを寄せる「織部深雪」、「久鬼」を妬む「菊池良二」などなど 30年たった現在でも色褪せないキャラクター達が群像劇を演じていきます。
さらに、この物語は偶然にも作者の出身地でもある「小田原」が舞台になっていて、故郷 青森から小田原へ出てきた時はなにかしらの「縁」を感じたものでした。
この「鬼骨変」では、前回までの過去の昔話から(やっと)現代に戻り、キマイラ化した「久鬼」の描写から、九十九との対決。暗躍する「フリードリッヒ・ボック」と戦う「菊池」。そして「龍王院 弘」登場。とエキサイティングがシーンが各所に…。
特に雑魚キャラの筈の「菊池」が今回 男を見せるのです。シリーズ開始当初、作者すらもこういう展開は想像できなかったと思いますね。
「チビ」「不細工」「頭が悪い」「性格最悪」な「菊池良二」が、嫉妬していた「久鬼」の苦悩に出会った時、何を想い これからどう進んでいくのか…。これからの「菊池」、要チェックです。
次は「龍王院 弘」VS「ボック」なのか?
刊行は多分 1年後。まぁじっくり待ちますか…もう30年待ってるからね。
2014年10月22日 読了 個人的評価:⭐️⭐️⭐︎⭐︎⭐︎
(小田原駅で 帰宅途中の登山電車を待ちながらの読了。瞬殺でした。)
そして次回からは
「魔獣狩り」3部作、外伝3部、毒島獣太シリーズ2作は読了済み。本当はこの巻も読了済みなのですが、あえてこれから再スタートします。
最近では「陰陽師」のイメージが強い夢枕獏。スタート当初の3作はどれも「エロス&バイオレンス」色が強く、女性は敬遠しがちの作品かもしれませんが、それからの脱却に成功したようで、最近 刊行した「大江戸釣客伝」や「天海の秘宝」なんかは普通に読めると思いますよ。
未完だった「大帝の剣」や「獅子の門」が完結し、残る長編は「黄金宮」。是非、地虫平八郎の活躍、ついでに出雲はじめも登場させていただきたい!
たぶん「キマイラ」よりも再始動にパワーが必要だと思いますが…待ってますよ!獏先生。