信長燃ゆ (上)
新年1月2日にテレビ東京系にて放送した新春時代劇「信長燃ゆ」の原作小説、とりあえず「上巻」読破いたしました。作者の安部龍太郎氏は2013年に直木賞を受賞。私の敬愛する隆慶一郎氏が「最期に会いたかった人物」だったとのこと。初めて作品を読みましたが、個人的には「肌に合う」感じ。機会があれば他の作品も読んでみたいですね。
ストーリーは、梟雄「織田信長」と朝廷を支える「近衛前久」の類い稀なる才能を持つ2人の熾烈なる「駆け引き」に、ヒロインの東宮(今で言うと皇太子妃ですかね)「晴子」と信長のロマンス。そして、愛する者を奪われた復讐鬼「風の甚介」が絡んでくる……という流れです。
上巻のスタートからいきなり「本能寺の変」の結末、その後「回想シーン」的に都での「左義長(ザックリ言えば「どんど焼き」らしい…)」からの、「天正伊賀の乱」、そして、「武田討伐」へ……という感じで「下巻」へとつながります。
印象深い箇所は、「天正伊賀の乱」のくだり。ドラマでは大幅にカットされましたが、伊賀忍者軍はかなり信長軍を苦戦させたようですね。「のぼうの城」の作者、和田竜氏の「忍びの国」で、このことを題材にしているようなので、いつかこちらも読んでみる予定です。
もう一つは、ドラマでは描かれなかった、坂東一の馬乗り「矢代勝介」の娘で、同じく馬の名手「お駒」と前久の嫡男で信長に心酔している「近衛信基」の悲しい恋の結末も印象深いシーンでしたね。
さて、この後下巻ではどのような流れで「本能寺の変」まで繋がっていくのでしょうか……
2016年1月28日 読了 個人的評価:⭐️⭐️⭐️(歴史物好きなら+⭐️)
その真田丸、第1話しか観てませんが、どうしても「リーガルハイ」のイメージが捨てきれない印象。兄貴役の大泉洋の方が「凛々しく」て、果たしてどうなのか?……というのが一般的な感想でしょう。まぁ、大泉氏は「まれ」での「ダメ親父」イメージを払拭できそうなので良いのかもしれませんがね。
そして現在、「信長燃ゆ 下巻」と同時に読み進めているのが、こちら……
麻耶雄嵩「メルカトル かく語りき」です。現在 二章まで読みましたが、相変わらずの「メルカトル節」炸裂です。
1月は欲望に負けて、「絶対手を出さない」と決めていた「スマホゲーム」をダウンロードしてしまったが為に、「4冊」という不甲斐ない読了結果となりました。
スマホゲームも若干落ち着いてきたようなので、次回からは「月5冊」ペースに戻れる……と思います。
それではまた、次回。ごきげんよう。
SOSの猿
悪魔祓いをする「私の話」と、株誤発注事件を語る「猿の話」が交互に語られ、最後に「融合」する……という流れですね。正直言って「なんじゃこりゃ!」です。細部を思えば「うーん、なるほど」と思う箇所はありますが、全体的には何が何だかわかりません。「あとがき」を読んだら、この時期の伊坂作品は「肩すかしもの」とか「モヤモヤシリーズ」とか言われているみたいです。
(ブログを始める前ですが)今まで読んだ伊坂作品「重力ピエロ」「ラッシュライフ」「ゴールデンスランバー」など「映画化」された作品は(そこそこ)面白かったですが、独特の世界観がありますね。ちょっとズレると今回のような………な感じになるのでしょうかね。
2016年1月12日 読了 個人的評価:⭐️(伊坂好きでも評価が低いみたいです)
伊坂作品は、あのノーベル平和賞候補作家「村上春樹」氏に似てると誰かが言ってましたが、私も「同感」です(とハッキリ言えるほど両者の作品を読んでませんが)。村上作品は「ノルウェーの森」を読んで………でした。次に村上作品を読むときがあるなら、氏がノーベル賞を獲ったときですかね?
まぁ これからも伊坂作品は「読まざるを得ない」状況ですが、どうか「ハズレ」に当たりませんように……。
そして次回は、テレビ東京「新春(ワイドじゃなくなった)時代劇」原作の……
阿部龍太郎「信長燃ゆ」です。阿部氏の作品は読むのが初めてなので、どんな感じか楽しみです。
それではまた、次回。お楽しみに〜。
風が強く吹いている
2006年発刊後、2009年に文庫化。漫画化・ラジオ・舞台、そして実写映画化された人気作品です。銭湯の帰り道にハイジは「走りの申し子・カケル」と運命的な出会いをする。そしてオンボロアパート「竹青荘(ちくせいそう):通称 アオダケ」に住む住民を巻き込み、無謀にも「箱根駅伝」を目指すと宣言する。バラエティあふれる10人の仲間と箱根駅伝に向けて猛特訓に励むも、前途は多難……。果たして、夢の箱根駅伝に出場できるのか?………という流れでしょうか。
九章からの箱根駅伝の「くだり」からは、250ページ ノンストップで読んじゃいますよ。まるで「実況中継」を観てるみたいに。
特に私の地元「小田原・箱根」の5・6区のあたりは「ほーほー」てな感じで、「えー、選手ってこんなに大変なんだ……」なんて感心したりして。(人数が少ないからかもしれませんが)電車や路線バスを使って「走り終えた選手」や「次の日走る選手」がサポートするなんて、普通に観てたらわかりませんよね。
そして、「恋」やら「友情」やら「感謝」などが入り混じって、最後は感動の「ゴール」が待ってます。
あぁー、やっぱり 正月前に読むんだったなぁ。
小暮写眞館(下)
人の想いは思いもかけない場所に現れることがある。たとえば写真とか。英一の小学生の弟、光(ピカ)の様子がおやしい。友人のテンコによれば、彼は写眞館の元主、小暮さんの幽霊に会いたいのだという。そして垣本順子、英一と家族、各々が封印してきた過去が明らかになる。
読書の喜びがここにある。感動の結末へ。
2016年 あけましておめでとうございます。本年も「ミーハー的」な読書を「マイペース」でいきたいと思います。改めて申し上げますが、基本的には「文庫本」なので、本当の「読書ファン」の方には「全く無意味」なブログです。「今更感満載」ですのでご了承下さいませ。
てな訳で、またまた「上下巻で年越し」してしまいました。まぁこのタイミングじゃないと、読めませんでしたけどね。
無駄話はこれ位にして、宮部みゆき「小暮写眞館(上下巻)」 読了です。下巻はドラマの2話と最終話にあたるエピソード。ドラマ版では語られなかった部分を小説が、小説ではサラッと流した部分をドラマが、それぞれ補強し合っての相乗効果が発揮されていますね。是非 ドラマ版も観た方が楽しめます。
この作品の素晴らしさは「人のダークな部分を扱って」いても「ハッピーエンド(ぽく)」なっている、しかも「嘘くさくない」という事だと思います。普通「ダーク」を扱うと作品も「陰惨」になり「後味の悪い」作品になります。それが「ハッピーエンド」だと「嘘くさく」「薄っぺらい」物語になりますよね。
現実で起こりうる「不幸」から心を救えるのは「立ち向かう強さ」ではなく、「弱々しく」「何処にでもあるような」他人からの「親切」や「お節介」……かもしれないし、「親切」や「お節介」をした側の「生きる力」や「喜び」になっているのかもしれない……なんてことを感じちゃいました。
前回も書きましたが、グイグイ引き込まれる感じではなく、「読んでいる状態が自然」と感じるような作品です。こういう面白さもあるんですね。
最後に、カバーの「ローカル線の景色」も機会があれば見てみたいなぁ……なんて思いました。
2016年1月5日 読了 個人的評価:⭐️⭐️⭐️⭐️(宮部みゆき、再認識しました)
巻末の解説を読んだとき、「何故 宮部みゆき作品を最近 読まなかったのか」「何故 代表作で名作と言われてる「理由」「火車」「模倣犯」を読む気にならないのか」が理解できました。自分なりの「宮部みゆき」イメージが「あまり良く無かった」ということなのですね。現実でも、陰惨な事件が次々 起こっているのに、小説でまで「追体験」したく無かったのですね。
作者自身も「現代ミステリー」よりも「時代ミステリー」に傾斜していたらしく、「現代モノ」を書くことに物凄くエネルギーを消費してしまい、次を書くまでに「かなりの充電」が必要らしいです。読み手が披露する以上に書き手もそれ以上に疲れるのでしょうね。
それでも今回、作者の文章力レベルの高さには脱帽ですね。絶妙な言葉遣いとテンポは、(今更ながら)日本トップレベルの作家だと再確認いたしました。今後、代表作の「理由」「火車」「模倣犯」の3作に挑戦したいと思いますが……こちらも若干「充電」が必要ですかね。
そして、次の読破作品は、去年、いや一昨年から読もうと思っていた こちら……
それでは、また次回。お楽しみに。
小暮写眞館(上)
ブログアップが遅れて、ついに大晦日になってしまいました。もしかしたら2015年最後の投稿になるのか……?
てな訳で、ブログ開始してからは初めての宮部みゆき作品です。「ブレイブストーリー」以来ですから、結構なご無沙汰です。この「小暮写眞館」は2010年に文庫書き下ろしでの発刊、その年の「週刊文春ミステリーベスト」で国内7位にランクイン。そして2013年に「神木隆之介」主演でドラマ化され、今年の8月に再放送があり、その録画をつい最近に観終えてからの読書スタート……という流れなんです。
古い写眞館に引っ越したお陰で「謎の(心霊)写真」の解決を依頼される主人公。普通の高校生なのに、巷では「心霊写真バスター」と噂されることになります。
上巻はドラマで言えば1話と3話のストーリー。「家族間の葛藤」や「大事なひとへの想い」など、日常に隠れている様々な「暗部」が、踏み込むごとにハッキリ見えてきます。
主人公は「まぁ いっか」と呟きながら、その「暗部」に触れる事で人間的に成長していきます。
そして、それを取り巻くキャラクターのバランスが絶妙なのは、さすがですね。
作者が書いた現代を舞台にした小説では「初のノンミステリー」らしく、代表作の「理由」や「模倣犯」で描いたような事件はもう書きたくないという気持ちが表れた作品である……とインタビューに答えています。
グイグイ引き込まれる感じではないので、読了ペースは上がりませんでしたが、「いつも歩いている道端で、季節の花が咲いているのを見つけた」ような小さな「面白さ」が散りばめられている作品です。
2015年12月27日 読了 個人的評価:⭐️⭐️⭐️⭐️(じわっとくる面白さですよ)
いやー、「上下巻」合わせると薄めの小説「3冊分」の厚み。さらに年末の忙しさも加わり、読破予想数「69」をクリアー出来ず 残念無念 です。
そして、年内ラストになるか? ならぬか? 次回は………
もちろん下巻。なんと上巻より厚みがありますよ。現在 最終章に突入はしていますが、本日中に読了できるかは微妙……。もちろん ブログ更新は不可能な状況ですね。
去年と同様、年をまたいでしまいそう。完全に読み間違いでした。
でも、「花ちゃん」風に「まぁ いっか」……ですね。
それではまた、次回⁈ それとも、来年! よろしくお願いします。
メルカトルと美袋のための殺人
前回の「翼ある闇」で消化不良だった「メルカトル」。最新作「メルカトルかく語りき」を読み前にもう少しデータを入れるため、今回の短編集「メルカトルと美袋(みなぎ)のための殺人」を読了いたしました。
「名」ではなく「銘」と冠された「メルカトル鮎」は、登場した瞬間に事件の謎を解いてしまう為、長編作品には向かない探偵です。そして解決の方法も……若干、いや大幅に問題あり……なんです。まぁ こういう流れがミステリーの醍醐味なのかもしれませんがね。
ワトスン役の「美袋」が事件に巻き込まれ、ホームズ役「メルカトル」登場の後、即事件解決の図式。読み手の意表を突いた結末は見事。
ですが……爽快感、は……どうなんでしょうかね?個人的には警察小説的「ミステリー」の方が好みですねぇ。
2015年12月17日 読了 個人的評価:⭐️⭐️⭐️(ミステリーとしての完成度は高いと思いますが、メルカトルの性格がねぇ……)
麻耶雄嵩の作品はミステリーマニア度が高い程に楽しめる作品のようですね。物語の細部に名作ミステリーへの「パロディ」やら「オマージュ」やらが散りばめられている……ようですが、勉強不足の私ではちょっと難しい感じは否めませんね。
そして、次回はようやく最新作の「メルカトル……」と思ったのですが……
意表をついて宮部みゆき「小暮写眞館(上下)」を読みたいと思います。理由はドラマの再放送を観たからなんですがね。
多分、この上下巻で年内のブログ更新は最終になると思います。
それではまた次回。お楽しみに。
ロスジェネの逆襲 半沢直樹3
2012年発刊、今年2015年に文庫化した人気シリーズ「ロスジェネの逆襲・半沢直樹3」ついに読了です。
今回の半沢は前2作と違い、「クールな上司」役で、部下のロスジェネ世代「森山」が主役っぽい感じです。
最初は現状に諦めを感じながら、それなりに仕事をこなす……という姿勢が、「熱い男・半沢」と行動を共にするうち、仕事に対する考え方が変化していきます。就職氷河期の所為で「仕事への憧れ」をズタズタにされた世代が「仕事の本当の価値観」を見出していく……という流れ。
もちろん、お馴染み「倍返し」もドラマチック仕様に用意されています。同じ職場や親会社の銀行からの仁義なき裏切りで、窮地の半沢と森山の逆襲はいかに………。
平気で仲間を裏切る「バブル世代」の「三下悪役」たち。自分自身の保身だけを考え、裏切り、徒党を組み、力技で押さえ込もうとする理不尽な振る舞い。でも、こういうこと現実でも多々あるんですよね。私も歳50の「バブル世代」ですので、「三下」にならぬ様に気をつけねば……。
そしてストーリー中、最も印象深かったのは、半沢が部下の森山に言うこの文章。「仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。その大原則を忘れたとき、人は自分のためだけに仕事をするようになる。自分のためにした仕事は内向きで、卑屈で、身勝手な都合で醜く歪んでいく。そういう連中が増えれば、当然組織も腐っていく。組織が腐れば世の中も腐る。わかるか?」。こんなことを熱く語る上司がいたら、死ぬまでついていっちゃいますよねぇ。
半沢を除く「バブル世代」が失敗し、森山たち「ロスジェネ世代」が未来を切り開いて行く図式。上の世代に虐げられた「現在の35〜45歳」の人達が世の中の舵を握り、我々の世代がサポート、そしてそれ以上の年齢の方達は「出来るだけ邪魔しないでいただきたい」と思う次第であります。(←てか、選挙演説か!)
あと、ストーリーに嫁の「花」(とその息子もだけど)が登場していないのは、ドラマ第二弾を意識してのことだったのかなぁ……てか、その時は結婚したけど子供はまだか……。もしかして「出向」になったから「三下り半」突きつけられた……とか、だったりして。
2015年12月10日 読了 個人的評価:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
何度も言いますが、はたして続編はいつになることでしょうか? 第四弾「銀翼のイカロス」文庫化に合わせると2017年となりますが、はたして?
そして2015年もあと2週間くらい。読破できるのは(一冊読み終わってるので)あと2冊くらい。
そんなとき、なんですが……
年末年始用にアマゾンでこんだけ購入してしまいました………
絶対 3ヶ月分はあるな……。まぁいっか!
それではまた、次回。かみんぐすーん。