見番 吉原裏同心 (三)
かなり久しぶりの「吉原裏同心シリーズ」第三弾「見番(けんばん)」読了です。前巻から何と1年2ヶ月空いてしましました。最近「二十四巻」が出たようで、はっきり言ってヤバイです。
今回は、十代将軍「家治」が亡くなり、権力を振るっていた「田沼意次」が失脚。これにより「吉原遊廓」にも甚大な影響を受けてしまいます。
その頃、「見番(芸妓・芸者を抱えて妓楼に派遣する事務所)」を取り仕切る「大黒屋」は、反田沼派の急先鋒「一橋治済」に近づき、吉原を己の物にすべく暗躍。「百面の銀次」を手先に使い、吉原を混乱に陥し入れ、延いては総取締「四郎兵衛」の暗殺計画までも実行する。
暴挙の限りを尽くす「大黒屋」へ「吉原遊廓」と「裏同心」の反撃が始まる……という流れで、クライマックスは愛しの奥様「汀女」が拉致されるピンチが。
でも、大丈夫。幹次郎 「練習してますから」。「眼志(がんし)流・波返し」が今回も「計5回」冴えに冴えまくっております。それと「横霞み」という新技も炸裂いたします。
余談になりますが、今回失脚した「田沼意次」、中学生の頃に「私腹を肥やした大悪党」のように教わったように記憶してます。「徳川吉宗(遊び人の新さんですね)」の「享保の改革」が緊縮政策だった為に財政再建は出来た様ですが、民の生活は貧窮したらしいです。そして次の「田沼政治」での資本主義化により経済が活性化されたんですが、「なんか最近も同じようなことしてるんじゃない?」……なんて思っちゃいました。歴史は繰り返すとはこういう事なんでしょうかね。
この「吉原裏同心シリーズ」ですが、吉原という「カオスな場所」が舞台であるにもかかわらず、「清らかで洗練された風」のような「爽快感」が感じられるところが魅力的だと思います。次巻からはそう時間(シャレじゃありませんが)を空けずに読みたいと思います。