転迷 隠蔽捜査4
次々と襲いかかる難題と試練ーーー闘う警察官僚(キャリア)竜崎は持ち前の頭脳と決断力を武器に、悠然と立ち向かう。
今野敏作品は「ST」、そして「隠蔽捜査」をシリーズ通して読んでいます。その他、「ビート」の「樋口顕」シリーズの文庫は制覇、安積班シリーズも何作か読みましたが…ちょっと止まってます。
さて、「隠蔽捜査 4」は2011年に発刊、2014年に文庫化されました。そして週刊文春ミステリーベスト10・2011年の第10位にランクインした作品です。
表題の「転迷」を検索してみたら「転迷開悟(てんめいかいご)」という四字熟語が出てきました。「迷いを転じて悟りを開くこと」という意味だそうです。
主人公・竜崎は「私利私欲のない」・「原則原理に忠実」なキャリア官僚。どれだけ迷っても「原理原則」でたちまち解決……なのですが、今回はかなり大変です。まず大森署管内で「ひき逃げ」と「放火」、近くの管内で「殺人事件」。その後、娘の恋人が海外赴任中に連絡が取れなくなり、最後には麻取が怒鳴り込んでくる…という公私にわたって事件の連鎖に次ぐ連鎖。
それでも竜崎は「判子」を押しながら「原則原理」に添って捜査の指揮し、全く関連がないと思われていた事件がジグソーパズルのピースがはまっていくように解決に向かっていきます。中には個人的に「無茶苦茶じゃん!」と思うような箇所はありますが、上司からも部下からも、そして他セクションからも厚い信頼を得てしまう竜崎はさすがです。まぁ、本人は全く自覚がないと思いますがね。
それと、名物刑事「戸高」や以前からの天敵「野間崎」もいい味出してます。もちろん「伊丹刑事部長」もですけどね。
あと、事件には関係ないですが、竜崎と娘との「結婚観のぶつかり合い」もこの作品の隠された見所だと思います。今後の(たぶんあるでしょう)娘の結婚式エピソードはどんな展開になるでしょうかね?