ミーハー的 読書日記

読了した本の主観的な感想 あれこれ

日本のいちばん長い日 決定版

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昭和二十年八月六日、広島に原爆投下、そして、ソ連軍の満州侵略と、最早日本の命運は尽きた‥…
しかるに日本政府は、徹底抗戦を叫ぶ陸軍に引きずられ、先に出されたポツダム宣言に対し判断を決められない。八月十五日をめぐる二十四時間を、綿密な取材と証言を基に再現する、史上最も長い一日を活写したノンフィクション。

いつもはミーハー的に娯楽物を読んでいる私ですが、何年か前から「8月は終戦物」という位置づけで、1作品だけ読むことにしています。一昨年は「永遠の0」、昨年は森村誠一「ミッドウェイ」(まぁ どちらもフィクションなのですが…)を読み、今年は 浅田次郎「終わらざる夏」を…と決めていたのです。ところが、今年の8月8日公開「日本のいちばん長い日」を鑑賞することになり、この作品を新書購入した次第です。

この作品が世に出たのは、1965年、なんと私が生まれる1年前。当時の有名作家「大宅壮一」名での発刊でした。これは売るための営業上の都合だったようで、本当の作者「半藤一利」名での完全版 発刊は1995年文庫化は2006年と、比較的新しく、発刊当時はタブーだった事実等も加筆してあるようです。

1945年7月26日にアメリカ・イギリス・中国によって提示された「ポツダム宣言」の受諾から、昭和天皇による8月15日の「玉音(ぎょくいん)放送」までの、いわゆる「いちばん長かった一日」を時系列で描いたノンフィクション。
昭和天皇」「鈴木貫太郎総理」「阿南陸軍大臣」の三人の天才的なバランス感覚によって、今の日本国が存在出来たのであり、もし少しでもバランスが崩れていれば国自体が滅んでいたかもしれない…そんな現実があったのか、ということを痛感させられた作品でした。

私が生まれ育った時代は高度成長期からバブル全盛期にかけてであり、食べる物に困ったこともなく、若き日の頃は「宵越しの金は持たない!」的なイメージがまかり通っていた時代でした。学校教育でも歴史で習うのは昭和以前の史実、明治維新以降は教科書を読む程度で終わらせていたような気がします。戦後の復興も落ち着き、戦争に対しての「嫌悪感」がそうさせていたのかもしれませんけど。

今、安保問題に揺れる日本。「美化された戦争秘話」ではなく、「愚かだった戦争の事実」を日本人全員が受け止め、「唯一 原爆を落とされた国」としての世界に対する立ち位置が、日本国としてのあるべき姿であり、日本は戦争からいちばん遠い国であるべきと、私は思っています。

2015年8月9日 読了 個人的評価:⭐️⭐️⭐️⭐️(作品としてではなく、事実として知るべきか)


そしていつものごとく、少々 映画の感想を…

8月10日。丸の内ピカデリーで映画を観ました。やはり年齢層は高め。公開3日目で客入りもまずまずでした。
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この映画の主人公は役所広司演ずる「阿南陸軍大臣」。若き陸軍将校の「徹底抗戦」への痛烈な感情を爆発させまいと奮闘する姿に「漢」を見ましたね。原作本を読んでの鑑賞だったので、複雑な人物相関やストーリーも理解しやすかったです。でも個人的には「昭和天皇玉音放送」をメインにした脚本の方が「題名」に近い作品になったのでは…なんて思いますね。

また、機会があれば1967年版の作品、「三船敏郎」演じる阿南も観てみたいと思います。


そして、現在はガリレオ「聖女の救済」を読了し、「探偵の探偵 Ⅱ」と新規購入した

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「握る男」を読破中。8月は6冊制覇を目指したいと思っています。

それではまた、次回。