灰 夜 新宿鮫 Ⅶ
底知れぬ力の影が交錯する中、見知らぬ街で孤立無援の闘いが始まった! 男の誇りと友情をかけた熱い怒りが弾けるシリーズ第7弾。
新宿鮫シリーズもついに7作目「灰 夜(はいや)」読了です。実はこの作品、8作目にあたる「風化水脈」の方が早く発表されたのですが、物語の時系列上 7作目となったようです。
2001年刊行、2004年 文庫化。そして新宿鮫シリーズでは唯一「週刊文春ミステリーベスト10」にノミネートされていない作品なのです。(ちなみに2001年は作者の別作品「闇先案内人」が7位にエントリーされていますが…)
だったら、「面白くなさそーじゃん!」と思ったら大間違いです!
この作品は初期の「新宿鮫」・「毒猿」を想わせるような原点回帰的作品であり、最近の作品での「頭脳戦的」鮫島ではなく「ハードボイルド」な鮫島が大活躍。
しかも舞台は、ホームタウン「新宿」ではなく、自殺した同僚の故郷のとある県(鹿児島でしょうか?)で事件が発生。いつもの「桃井」・「藪」の助けも無く、孤独な闘いを続けるしかない鮫島君です。
そして、前作「氷舞」での「舞台鑑賞シーン」でのスタートを上回る、なんと「鮫島監禁シーン」からのスタートで、もう最初から「釘付け」状態でしたね。
同僚だった宮本と深い絆を持っていた友人「小山」との奇妙な友情。鮫島と宮本は「マブダチ」かと思いきや、全然そういうことは無く、小山は鮫島が宮本の大事な友達だと勘違いして命をかけたり…と、宮本を挟んでの「熱い友情」が意外と胸に沁みましたね。第2作「毒猿」を思い出しました。
そして、ラスト二章からの展開はシリーズ至上最速のスピード感。もう 人がバッタバッタと死んでいきます。
残念なのが、宮本の遺書の内容。まったく登場しません。今後の作品で明らかになるのでしょうか?