三匹のおっさん ふたたび
2015年も4月を迎え、そろそろ桜の花も見納めとなってまいりました。
ストーリーは…(毎度ですが文庫裏から抜粋)
剣道の達人キヨ、武闘派の柔道家シゲ、危ない頭脳派ノリ。あの三人が帰ってきた! 書店での万引き、ゴミの不法投棄、連続する不審火・・・・・・。ご町内の悪を正すため、ふたたび”三匹”が立ち上がる。 清田家の嫁は金銭トラブルに巻き込まれ、シゲの息子はお祭り復活に奔走。 ノリにはお見合い話が舞い込み、おまけに"偽三匹"まで登場して大騒動! ますます快調、大人気シリーズ第二弾。
…とまぁ前作と同じ流れです。2014年のドラマ化でほとんどのエピソードが映像化されているので、新鮮感は若干少なめでしたが、安定した面白さでした。
そしてボーナストラックの短編「好きだよと言えずに初恋は、」は全作「三匹のおっさん」第5話に登場した早苗のクラスメート「潤ちゃん」の小学生時代のほろ苦いエピソード。「いい男にいやがらせするのは礼儀」と、祐希と早苗を翻弄したあの女の子にこんなエピソードがあったとは…。この短編を読んだ後に、もう一度前作を読み返すとまた印象が違って見えますね。まぁ この子のお陰で祐希と早苗の距離が確実に2・3歩は縮まりましたね。
また、潤ちゃんの初恋の相手は別作品「植物図鑑」の登場人物と深い関わりがあるとか…。まだ未読の作品なので、読み終えたらまたこの短編を読み返してみたいと思います。
この物語は、ただ単に「昔 悪ガキだったおっさんが、今の世に中の悪常識を正して、(年甲斐もなく)奮闘する」というストーリーに思えますが、実は還暦過ぎの世代、その息子たちの世代、そして孫たちの世代の異なる世代が、互いに「ジェネレーション・ギャップ」を感じつつも、「新たな発見」をしながら、お互いに認め合うという理想的な家族像がこの作品の魅力だと思います。
厳格で真っ直ぐな主人公がその性格故に失敗したり、親に感じている息子の劣等感は、実は親への尊敬の裏返しだったり、孫が尊大な話し方をするのが照れ隠しだったり…と、完璧な人って居ないなー、なんて思いました。
もし、孫ができて自分のことを「ジジィ!」と呼んでも、笑って答えられるようになるのかな…なんて、読みながら考えちゃいました。今だったら絶対に無理ですけどね。