ふるさと銀河線 軌道春秋
この作品は「ほっこりした温かさ」よりも「切ないほろ苦さ」の方が勝っているのですが、読了後は不思議と嫌な気持ちにならないような気がします。
時には心が折れてしまうこともあることでしょう。
そんな時には「嘘で美化されたハッピーエンド」よりも「切なくてほろ苦い」この作品の方が「小さな勇気が湧いてくる」ような気がします。
特に、アルコール依存をテーマにした作品の中の一節…
「明日は飲んでしまうかも知れない。けれど今日は飲まない。そんな「今日」を積み重ねて行こうと思うのです」。
この一文から「明日からやればいい」とつい「今日」を無駄に過ごしてきた自分を反省し、日々を大切にしていこうと新ためて思いました。
私ももう既に人生の折り返し地点は過ぎていますからね。
(ちなみに私はアルコール依存性ではありませんので…お間違えの無い様に)
あと、全編を通じて「電車」が効果的に使われていること。そして「みをつくし」ゆずりの「美味しそうな料理」の描写が作品にさらに花を添えていますね。
2015年1月26日 読了 個人的評価:⭐️⭐️⭐︎⭐︎⭐︎
「ふるさと銀河線」とは「北海道ちほく高原鉄道 ふるさと銀河線」のことで、こちらは残念ながら2006年4月に廃止されましたが、現在では観光鉄道「ふるさと銀河線 りくべつ鉄道」として、運転体験ができる人気施設になっているとあとがきに書かれています。いつか ゆっくりと訪れてみたいですね。
ちなみに高田 郁 作品「あい 永遠に在り」が来月(2015年2月)文庫化されます。
「みをつくし料理帖」を休載してまで書き上げた物語らしいので発売後、是非読みたいと思います。
では、また。