県庁おもてなし課
この物語はフィクションです。
しかし、高知県庁におもてなし課は実在します。
上記の文章から始まるこの物語は作者が実際に地元 高知県の観光特使を依頼されたことが元ネタになっているとのこと。
ストーリーは主人公「掛水(かけみず)」君が配属された新設の「おもてなし課」にて、作家の「吉門(にしかど)」氏や観光コンサルタントの「高遠(たかとう)」氏、娘の「佐和(さわ)」さんなどと関わり合いながら、「多紀(たき)」ちゃんの力も借りて、社会人として、そして男として成長していく…という流れでしょうか。
掛水・多紀・吉門・佐和」のお互いの恋の行方を気にしながら、お役所体質の「おもてなし課」が民間感覚の欠如に気付き、フットワークが軽い外部の女性(多紀のこと)の意見を取り入れ、かつて県庁が放り出した「高遠」氏のアドバイスより、次第に新しい観光への道筋が見えてくるという所はワクワクして読み進めましたね。
なかでも「名刺とは、ここぞというとき相手に自分の"名"前を"刺"す道具」とか、「観光って"光"を"観"るって書く」とか、「イナカに来る観光客は、致せり尽せりの都会的な観光を期待しているわけではなく"適度な不便"を楽しみにくるんだ」など 目から鱗のような言葉が随所に登場しています。
ありふれた日常の中に潜む「輝きの見つけ方・面白がり方」を教えてくれるいい作品だと思います。
2014年12月16日 読了 個人的評価:⭐️⭐️⭐︎⭐︎☆
最後の解説でも語られているように、有川作品は(まだ未読ですが)「図書館戦争」「フリーター、家を買う」「空飛ぶ広報室」などの「重い」テーマを「軽い(軽やかに)」作品に仕上げているので、ストレスのない心地よい読了感が味わえるのがいいですね。
では、また。